精神科の病棟での看護師の声かけは、患者さんの病状のこともあり、一般的な声かけとは異なってきます。
ここでは、事例を挙げてポイントを紹介していきます。
特に、対応が難しいとされるのが統合失調症の患者さんです。
患者さんには、幻覚・幻聴あるいは妄想といった症状がみられます。
こうした症状に直面する患者さんの気持ちは、当人にしかわからないもの。
とはいえ、心身のケアを担う看護師である以上、しっかりと寄り添うことが必要になります。
統合失調症で幻覚や幻聴に見舞われる患者さんは、本来ないはずのものが見えたり、聞こえたり、あるいはないことを現実だと思い込んでいます。
そんな中、看護師の声かけで最もしてはいけないのが否定です。
その人にとっては実際に見えているし、聞こえているため、相手から否定されると混乱してしまいます。
同時に、「どんな声が聞こえるの」「誰が言ってるの」など具体的な質問等をして助長させるのもNGです。
もし「声が聞こえる」などと言われた場合は、淡々と「そうなの」と返すだけで十分です。
否定も助長もしないよう心がけましょう。
患者さんは時折、幻覚や幻聴で強い不安に駆られ恐怖にさいなまれることがあります。
そんな時は、症状にではなく、「怖い」「不安だ」という気持ちにフォーカスしましょう。
「声が聞こえて辛い」という患者さんに対しては、「そんな声が聞こえたら辛いですね」「確かにそんな声が聞こえたら私も怖いですよ」と気持ちに寄り添った声かけをするのがベストです。
「あなたの気持ち分かりますよ」「辛い気持ち、怖い気持ちを理解していますよ」ということを示す声かけをしましょう。
そのような症状がもし、自分に現れたらどう感じるか、想像力を働かせて声かけをしていくことが大事です。